心臓血管手術における術中クロール値と術後腎機能についての後ろ向き観察研究
本研究は大分大学医学部倫理委員会で審議され,大分大学医学部長の許可を得ています.
倫理委員会では「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に基づき,外部委員を交え,倫理的・科学的観点から審査を行います.
1.研究の名称
心臓血管手術における術中クロール値と術後腎機能についての後ろ向き観察研究
2.研究の目的及び意義
心臓手術に関連した急性腎傷害は手術後の回復に悪影響を与える頻度の高い疾患であるため,早期診断と適切な予防策を講じていく事が重要です.高クロール(CL)血症は急性腎傷害の発症に関与するという報告がありますが,術中のCL値と心臓手術に関連した急性腎傷害の発症との関係は明らかではありません.
今回,心臓血管外科手術において,術中CL値が手術後の急性腎傷害の予測因子となるかどうかを検討することを目的としています.
3.研究方法及び期間
【研究方法】
2015年3月1日から2015年6月30日の期間に,当院手術室で人工心肺を使用した心臓血管外科手術を受けた患者を対象とします.
研究は後方視的にカルテ上より血液検査データおよび血圧や呼吸状態などの臨床パラメータを抽出し,以下の3項目に関して検討を行います.
(1)手術中のCL値の変化
手術中のCL値を用いて、手術中の最高値と最低値の差を評価します。さらに、人工心肺前、人工心肺中、人工心肺後それぞれの機関の最高値と最低値の差を評価します。
(2)腎機能の評価
腎機能のパラメータとして、術前から術後3日目までの血清クレアチニン値、シスタチンC値を用いて評価します。急性腎傷害発症の有無をRIFLE(Risk, Injury, Failure, Loss of kid- ney function and End stage of kidney disease)分類を用いて評価します。さらに、持続腎代替療法導入の有無、維持透析移行の有無を評価します。
(3)手術中のCL値の変化と術後腎機能との関連の評価
手術中のCL値の変化量と術後腎機能との相関を検討します。
【研究期間】
2015年3月1日から2015年6月30日まで
4.研究対象者として選定された理由
2015年3月1日から2015年6月30日の期間に,当院手術室で人工心肺を使用した心臓血管外科手術を受けた患者さんを対象とします。
5.研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益
後方視的な観察研究であるため,対象者に健康上のリスクは生じません.
6.遺伝的特徴に関する重要な知見
本研究の実施に伴い,研究対象者の健康,子孫に受け継がれ得る遺伝的特徴等に関する重要な知見が得られる可能性はありません.
7.健康被害に対する補償および賠償
本研究で健康被害を生じる可能性はありません.
8.研究への参加は自由であること
本研究へ試料(診療記録のデータ)を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です.従いまして,本研究に試料を使用してほしくない場合は,遠慮なくお知らせ下さい.その場合は,患者さんの試料は研究対象から除外いたします.また,ご協力いただけない場合でも,患者さんの不利益になることは一切ありません.なお,これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが,発表後に参加拒否を表明された場合,すでに発表した論文を取り下げることはいたしません.
9.個人情報等の取扱い
【匿名化の方法】
匿名化については連結不可能匿名化します.
【公表の配慮】
この結果はきちんと記録し,学会や医学雑誌に発表されることがあります.あなたのプライバシーに関するすべての秘密を保持することを保証します.
10.試料および情報の保存
【試料】
保存方法:連結不可能匿名化したのち,研究責任者が厳重に保管します.
期 間:研究終了後1年間
廃棄方法:上記期間が終了後に個人情報が漏洩しないように厳重に匿名化を行った上で,適切に廃棄します.
【情報(研究に用いられる情報に係る資料を含む)】
保存方法:研究責任者が厳重に保管します.
期 間:研究終了後1年間
廃棄方法:上記期間が終了後に個人情報が漏洩しないように厳重に匿名化を行った上で,適切に廃棄します.
11.研究資金
本研究においては,公的資金である麻酔科学講座の基盤研究費を用いて研究が行われますので,患者さんの費用負担はありません.
12.本研究に係る利益相反
本研究は上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません.「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭及び個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反」は発生しません.
13.相談等の対応
【相談窓口】
担当者氏名:小山 淑正
連 絡 先:大分大学医学部麻酔科学講座
電話 097-586-5943