遺伝子組み換えヒトトロンボモジュリン製剤(リコモジュリン)が播種性血管内凝固症候群(DIC)の改善率および生存率へ与える効果
本院集中治療部で播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療を受けられた患者さん・ご家族の皆様へ
~ICU入室(平成18年1月から平成24年12月まで)時に採取された血液検査データの医学研究への使用のお願い~
研究の目的について
「播種性血管内凝固症候群:DIC(Disseminated Intravascular Coagulation)」は、感染症、白血病、癌などの病気にかかっている時に、起きることのある病気です。DICは、出血などの時に血液が固まるしくみが、体の中で必要以上に働いてしまう病気です。DICになると血液を固まらせる働きを持つ物質(トロンビン)が多量に発生してしまい、全身の血管に小さな血の固まり(血栓)ができ、その結果体の中の大切な臓器(腎臓、肺、肝臓、心臓など)へ血液が十分に行き届かなくなって臓器障害をひきおこします。また、血液凝固が過剰に働くと、血液を固まらせる材料が足りなくなり、血栓を溶かす作用が強く働くと出血しやすくなることもあります。このような状態で一旦出血すると血が止まらなくなり、生命にかかわることもあります。DICの治療薬として、血液の固まるしくみが必要以上に働くことを抑える作用のあるお薬(抗凝固薬)が使用されており、DICにより引き起こされる「臓器の障害」や「出血しやすい状態」を改善することが確認されています。そのような抗凝固薬にはさまざまな種類がありますが、その中でどれがより効果があるのかははっきり分かっていないのが現状です。平成20年より遺伝子組み換えヒトトロンボモジュリン製剤(リコモジュリン)という新たな抗凝固薬が使用されるようになりましたが、その、他の薬剤に比較してそのお薬が有効なのかも明らかでありません。
本研究では、ICUに入室中にDICのために抗凝固薬を使用された患者さんの血液検査データを解析して、リコモジュリンがよりDICの治療に有効であるのかを明らかにして、将来、DICの患者さんの治療へ生かすことを目的としています。
使用させていただく試料等について
本院におきまして、既にDICの治療を受けられた患者さんの試料(電子カルテ上の血液検査データ)を医学研究へ応用させていただきたいと思います。その際、血液検査結果と診療情報(例えば治療効果がどうであったかなど)との関連性を調べるために、患者さんの診療記録(カルテやレントゲン写真など)を調べさせていただくこともあります。なお患者さんの血液検査データ及び診療記録(カルテ)を使用させていただきますことは本学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査され承認された後に行います。また、患者さんの検査データおよび診療情報は、国の定めた「臨床研究に関する倫理指針」に従い、匿名化したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。
患者さんの費用負担等について
本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。
研究資金
本研究においては,公的資金である集中治療部の病院研究費を用いて研究が行われますので,患者さんの費用負担はありません。
利益相反について
この研究は,特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)は発生しません。
研究の参加等について
本研究へ試料(血液検査データ)を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に試料を使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの試料は研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんの検査データを使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、以下の研究責任者までお申し出下さい。
研究責任者
879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
大分大学医学部麻酔学講座 集中治療部 助教 安田則久
電話番号 097-586-5943