心臓大血管手術後における人工心肺の血清マグネシウム値への影響

第1版:  2022年 3月 10日作成

本院で手術後に集中治療室で治療を受けられた患者さん・ご家族の皆様へ
~集中治療部での加療時(2020年4月から2022年3月)に行った検査データの医学研究への使用のお願い~


【研究課題名】


心臓大血管手術後における人工心肺の血清マグネシウム値への影響

【研究の対象】


この研究は以下の方を研究対象としています。
2020年4月~2022年3月に当院で心臓手術、大動脈手術、食道手術を受けられた方

【研究の目的・方法について】


集中治療を受けられるような重症な患者さんは、血液中のマグネシウムの値に異常を来す頻度が高いといわれています。特に、血中のマグネシウム値が正常よりも低くなる低マグネシウム血症の発生頻度が高いとされ、不整脈が発生しやすくなる、敗血症に罹患しやすくなる、生命予後が悪化する、等の報告がなされています。低マグネシウム血症は様々な原因で起きますが、その一つに心臓大血管手術で用いる人工心肺があげられます。心臓及び大血管の手術は、手術操作のために心臓を止めて手術を行うのが一般的です。心臓が止まっている間は、人工心肺という装置を使用して心臓と肺の代わりに体中に酸素を含んだ血液が十分に流れるようにします。但し、人工心肺を用いると、体液のバランスが大きく変動し、様々な検査値が影響を受けます。血清マグネシウム値も大きく影響されることが予想されますが、それを詳細に調べた報告はほとんどありません。また、心臓大血管手術後は不整脈が発生する頻度が高く、一旦発症すると術後の経過に重篤な影響を与えると報告されています。血清マグネシウム値は不整脈に直接的に影響を与える因子のひとつです。そのため、人工心肺と術後の血清マグネシウム値の関連を調査することは、術後不整脈の治療という面でも重要と考えられます。
本研究の目的は、人工心肺が術後の血清マグネシウム値に与える影響を検討するとともに、術後の血清マグネシウム値と術後不整脈発症との関連を調査することです。人工心肺が、不整脈をはじめとした術後の状態にどのように影響するのかを詳細に評価することで、より良い人工心肺の方法や手術後の管理法の確立に寄与すると考えています。
本研究では、手術前の情報(年齢や身長、体重、基礎疾患、主病名など)、手術中の情報(手術術式、手術時間、人工心肺時間、麻酔時間、出血量など)、手術後の情報(血清マグネシウム値をはじめとした検査値、集中治療室での使用薬剤、人工呼吸時間、不整脈の発生率、など)を診療記録(カルテ)上から抽出します。血清マグネシウム値に対して、どのような項目が影響を与えているのかを多変量解析という統計手法を用いて検討します。

研究期間:2022年4月28日~2023年12月31日

【使用させていただく情報について】


本院におきまして、心臓手術、大動脈手術、食道手術後に集中治療室で治療を行われた患者さんの診療記録を用いさせていただきたいと思います。
なお、本研究に患者さんの診療記録(情報)を使用させていただきますことについては、本学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査・承認され、大分大学医学部長の許可を得て実施しています。また、患者さんの診療情報は、国の定めた「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に従い、匿名化したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。

【使用させていただく情報の保存等について】


診療情報については論文発表後10年間の保存を基本としており、保存期間終了後は、診療情報については、シュレッダーにて廃棄したり、パソコンなどに保存している電子データは復元できないように完全に削除します。

【外部への情報の提供】


本研究で収集した情報を他の機関へ提供することはありません。

【患者さんの費用負担等について】


本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。また、本研究の成果が将来医薬品などの開発につながり、利益が生まれる可能性がありますが、万一、利益が生まれた場合、患者さんにはそれを請求することはできません。

【研究資金】


本研究においては,公的な資金である大分大学医学部麻酔科学講座の基盤研究費を用いて研究が行われます。

【利益相反について】


この研究は,上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)」は発生しません。

【研究の参加等について】


本研究へ診療情報を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に診療情報を使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの診療情報は研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんの診療情報を使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の照会先・連絡先までお申し出下さい。

【研究組織】


所属・職名              氏名
研究責任者 大分大学医学部附属病院集中治療部・助教  大地 嘉史
研究分担者 大分大学医学部附属病院麻酔科・医員    宮越 真由

【お問い合わせについて】

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申し出下さい。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
住 所:〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
電 話:097-586-5943
担当者:大分大学医学部附属病院 集中治療部 助教
大地 嘉史(おおち よしふみ)