周術期のビタミンC投与で術後せん妄を抑制できるか -単施設後向き前後比較観察研究-

第1版:  2022年 04月 15日作成

本院で予定された心臓血管外科手術を受けた患者さん・ご家族の皆様へ

~心臓血管外科手術時(令和3年10月から令和4年9月まで)に採取された血液の医学研究への使用のお願い~


【研究課題名】


周術期のビタミンC投与で術後せん妄を抑制できるか
-単施設後向き前後比較観察研究-
(*周術期とは、手術に関連した入院期間のことです)
(*後向き研究とは、電子カルテから血液検査結果や診療情報(例えば治療効果がどうであったかなど)、患者さんの診療記録(情報:高血圧の有無、手術時間、術後の尿量など)を収集する研究のことです)

【研究の対象】


この研究は以下の方を研究対象としています。
2021年10月01日~2022年09月31日に当院で予定された、人工心肺を用いた心臓血管外科手術を受けた患者さん

【研究の目的・方法について】


高齢患者さんでは術後にせん妄(一時的に錯乱した様な状態のこと)が生じやすいですが、特に心臓・大血管手術においてよくみられ、生命予後にも大きく影響するため、その予防法や治療法の確立は喫緊の課題です。
近年、基礎研究においては、活性酸素種の過剰産生に伴う酸化ストレスの関与が報告されています。
(*活性酸素種とは、体内に存在する酸素の一部で、病原体などに対する殺菌能等を有する特殊な酸素のことです)
(*酸化ストレスとは、体が酸性に傾いていき、錆びてしまう様な状態のことです)
我々は、高齢の患者さんでは加齢に伴い、すでに酸化ストレスが生じているところに手術による体への負担に伴う酸化ストレスがさらに加わることにより、高度な酸化ストレスが生じ、術後せん妄を悪化させると予想しました。
ビタミンCは酸化ストレスを減少させる物質です。ビタミンCは酸化ストレスを消去することでより減少するため、酸化ストレスが強いほど減少します。
当院ICUでは2022年4月より、予定された心臓血管外科手術を受ける患者さんへのビタミンC投与を行なっています。
本研究では、患者さんへのビタミンCの影響を酸化ストレスの測定を通して、術後せん妄発症率の比較を行い、せん妄を予防する方法としてビタミンC投与が有効かどうかを検討します。
研究期間:(医学部長実施許可日)~2022年09月31日

【使用させていただく試料・情報について】


本院におきまして、心臓血管外科手術を受けられた患者さんの検査に使用した際に残った血液(試料)を医学研究へ応用させていただきたいと思います。その際、血液を調べた結果と診療情報(例えば治療効果がどうであったかなど)との関連性を調べるために、患者さんの診療記録(情報:高血圧の有無、手術時間、術後の尿量など)も調べさせていただきます。
なお、本研究に患者さんの血液(試料)及び診療記録(情報)を使用させていただきますことについては、本学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査・承認され、大分大学医学部長の許可を得て実施しています。また、患者さんの試料および診療情報は、国の定めた「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に従い、匿名化したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。

【使用させていただく試料・情報の保存等について】


血液(試料)の保存は論文発表後5年間、診療情報については論文発表後10年間の保存を基本としており、保存期間終了後は、試料は焼却処分し、診療情報については、シュレッダーにて廃棄し、パソコンなどに保存している電子データは復元できないように完全に削除します。

【外部への試料・情報の提供】


本研究で収集した試料・情報を他の機関へ提供することはありません。
試料・情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称
大分大学医学部附属病院 集中治療部(麻酔科)  栗林 由英

【患者さんの費用負担等について】


本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。また、本研究の成果が将来医薬品などの開発につながり、利益が生まれる可能性がありますが、万一、利益が生まれた場合、患者さんにはそれを請求することはできません。

【研究資金】


本研究においては、公的な資金である大分大学医学部麻酔科学講座の基盤研究費、寄附金を用いて研究を行います。

【利益相反について】


この研究は、上記の公的な資金を用いて行われ、特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは、研究成果に影響するような利害関係を指し、金銭および個人の関係を含みますが、本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)」は発生しません。

【研究の参加等について】


本研究へ試料(血液)および診療情報を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に試料・診療情報を使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの試料・診療情報は研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんの試料・診療情報を使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の照会先・連絡先までお申し出下さい。

【研究組織】


所属・職名               氏名
研究責任者
大分大学医学部附属病院集中治療部(麻酔科) 助教    栗林 由英
研究分担者
大分大学医学部医学科           学生(4年次) 坪井 大晃
大分大学医学部科麻酔学講座        教授    北野 敬明
大分大学医学部麻酔科学講座        准教授   松本 重清
大分大学医学部附属病院麻酔科       講師    日髙 正剛
大分大学医学部附属病院集中治療部(麻酔科) 助教    大地 嘉史
【お問い合わせについて】

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申し出下さい。
照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
住 所:〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
電 話:097-586-5943
担当者:大分大学医学部附属病院麻酔科集中治療部  栗林 由英