目標指向型輸液療法 (goal-directed fluid therapy : GDT)が腹腔鏡下結腸切除後の患者転帰に及ぼす効果の検討

大分大学医学部附属病院で腹腔鏡下結腸切除術を受けられた患者さん・ご家族の皆様へ
~“平成27年1月から平成29年12月までに”当施設手術部で腹腔鏡下結腸切除術を受けられた患者さんの診療記録および検査データを医学研究に使用することについてのお願い~

【研究課題名】


目標指向型輸液療法 (goal-directed fluid therapy : GDT)が腹腔鏡下結腸切除後の患者転帰に及ぼす効果の検討

【研究の目的について】


従来の輸液管理では,まずとにかく輸液不足を避けることが第一優先であって,輸液適正化の指標に乏しかったこともあり,長時間手術や侵襲(患者さんの体にかかる負担)の大きな手術では輸液が過剰投与されることも稀ではありませんでした。しかし近年,大量輸液による間質浮腫が術後予後を悪化させることが指摘され,輸液最適化の概念から目標指向型輸液療法 (goal-directed fluid therapy : GDT) が注目されています。

目標指向型輸液療法(GDT)では,平均血圧,心拍出量,一回拍出量変化など複数の指標を用いることで,個々の症例で最適化をはかり,テーラーメイドな輸液管理が可能になるとされています。これまでにGDTの有効性を示す報告は多く,術後の合併症抑制,機能回復促進が示されており,欧米では入院期間短縮のために積極的に推奨されています。しかしながら,本邦では周術期のGDT実施率は低いのが現状です。その原因のひとつとして,適応症例が明瞭化されていない,つまりどのような手術で有効なのかが明らかになっていないことが考えられます。 今回の研究対象である腹腔鏡下結腸切除術では,気腹(腹部を炭酸ガスで拡張させること)や体位(頭低位)など特有の手術操作が,輸液指標の正確性を低下させることが危惧されて,GDTが適用できるのかは分かっていません。そこで本研究では,腹腔鏡下結腸切除術におけるGDTの有効性を明らかにすることを目的とします。
その結果として,術後の合併症抑制,機能回復促進などの有効性が示されれば,適応症例はさらに広がり,さまざまな手術において早期社会復帰が可能となることが期待されます。

【使用させていただく情報について】


本院において腹腔鏡下結腸切除術を施行された患者さんの情報(麻酔記録、電子カルテ記録)を医学研究へ応用させていただきたいと思います。なお,患者さんの情報を使用させていただきますことは,本学医学部倫理委員会において外部委員も交えて,厳正に審査され承認されています。また,患者さんの情報は,国の定めた「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従って匿名化したうえで管理しますので,患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら,個人情報保護法などの法律を遵守いたします。

【使用させていただく情報の保存等について】


患者さんの試料(麻酔記録、モニター記録)の保存は論文発表後10年間を基本としており、保存期間終了後は、漏洩しないように厳重に匿名化を行った上で、適切に廃棄します。ただし、研究の進展によってさらなる研究の必要性が生じた場合は10年間を超えて保存させていただきます。

【患者さんの費用負担等について】


本研究を実施するにあたり,患者さんの費用負担はありません。

【研究資金】


本研究においては,研究資金を必要としませんが、万一起こり得る場合は公的な資金である大分大学医学部麻酔科学講座の寄付金を用いて研究が行われ,患者さんの費用負担はありません。

【利益相反について】


この研究は,上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)は発生しません。

【研究の参加等について】


本研究へ情報(麻酔記録、モニター記録)を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に情報を使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの情報は研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんの情報を使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の研究責任者までお申し出下さい。
【研究責任者】

〒879-5593
大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
大分大学医学部附属病院麻酔科 医員 田中千尋(たなか ちひろ)
電話番号 097-586-5943