硬膜外麻酔における難易度、麻酔効果、造影効果、インシデント発生において硬膜外カテーテルの形状が与える影響

本院で手術を受けられた患者さん・ご家族の皆様へ

~手術後 (2006年10月から2011年9月まで)に行った硬膜外造影データの医学研究への使用のお願い~

研究の目的について


周術期疼痛管理において硬膜外麻酔を行う機会があります。術後の疼痛管理として数日間使用するため、硬膜外カテーテルを留置させていただくことがほとんどです。そのカテーテルの採用に関しましては、当施設では鎮痛効果と安全性の向上の観点より定期的に見直しを行い、選定し臨床使用しております。そのため、これまでにも新製品の臨床試用やカテーテルの変更の機会がありました。

一方、当施設では2006年より周術期疼痛管理において硬膜外造影を行い、硬膜外カテーテル留置部位や造影効果などを判定することで、硬膜外麻酔使用の安全性と局所麻酔効果を高める試みを行ってきました。

本研究では、カテーテルの形状や素材により麻酔効果、造影効果や血液逆流、硬膜穿破、感覚異常などの発生頻度が異なる可能性があることから、これまでのデータをカテーテル別に解析し、より優れた硬膜外カテーテルの形状・素材や、カテーテルの性質に合わせた施行法について検討したいと考えています。その結果、より麻酔効果が高く、安全に使用できる硬膜外カテーテルや硬膜外麻酔施行法の開発が可能となり、周術期疼痛管理に役立つと思われます。

使用させていただく試料等について


本院におきまして、既に硬膜外麻酔併用下に手術を受けられ、術前に術後硬膜外造影の同意をいただいた患者さんの手術後のレントゲン写真を含めた様々な情報を医学研究へ応用させていただきたいと思います。その際、硬膜外造影結果と診療情報(例えば鎮痛効果がどうであったかなど)との関連性を調べるために、患者さんの診療記録(カルテ)を調べさせていただくこともあります。なお患者さんのレントゲン写真及び診療記録を使用させていただきますことは以前、「術後硬膜外造影による硬膜外カテーテル留置部位の確認と効果判定」という内容で本学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査され承認されておりますが、今回、後方視的に硬膜外カテーテルの種類別で再調査するため、再度審査を受け再承認されております。また、患者さんの試料および診療情報は、国の定めた「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従い、匿名化したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。

使用させていただく試料の保存等について


レントゲン写真を含めたデータの保存は5年間(平成28年1月8日から平成33年12月31日まで)を基本としており、研究終了後は、全ての試料を焼却処分します。ただし、研究の進展によってさらなる研究の必要性が生じた場合は5年間を超えて保存させていただきます。

患者さんの費用負担等について


本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。また、本研究の成果が将来医用材料などの開発につながり、利益が生まれる可能性がありますが、万一、利益が生まれた場合、患者さんにはそれを請求することはできません。

研究資金


本研究においては,公的な資金である麻酔科学講座の基盤研究経費、寄付金を用いて研究が行われ,患者さんの費用負担はありません。

利益相反について


この研究は,上記の公的な資金を用いて行われ,特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは,研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが,本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)は発生しません。

研究の参加等について


本研究へレントゲン写真を含めた周術期データを提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究にレントゲン写真などを使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんのデータは研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんのデータを使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の研究責任者までお申し出下さい。
研究責任者

〒879-5593
大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
大分大学医学部麻酔科学講座 助教 内野哲哉
電話番号 097-586-5943