心臓手術関連急性腎傷害(CSA-AKI)に対する早期腎代替療法の有効性についての後ろ向き観察研究

大分大学医学部附属病院集中治療部で心臓血管手術後に持続的腎代替療法を受けられた患者さん・ご家族の皆様へ

~2007年1月から2014年12月までに”術後ICUで持続的腎代替療法を受けられた患者さんの診療記録および検査データを医学研究に使用することについてのお願い~

【研究の目的について】


心臓血管手術後に起こりやすい合併症のひとつに急性腎傷害があり、これを心臓手術関連急性腎傷害(CSA-AKI)といいます。その発症には、手術侵襲や薬剤による影響、患者素因(高血圧、動脈硬化、低心機能、慢性腎臓病など)などの関与が想定されてはいますが、詳細な原因は不明で、有効な治療法の確立には至っていません。CSA-AKIの発症頻度は依然として高く、重症例では人工呼吸器期間の延長、入院期間の延長、慢性維持透析への移行など、術後経過に大きく影響します。そのため、現状では、発症後の重症化を抑制して、腎臓の負担を軽減して機能回復を促進させる、いわゆる腎保護戦略が重要と考えられています。
腎保護戦略のなかで、腎臓の働きを機械的に肩代わりする持続的腎代替療法の役割は大きく、有効な施行方法について様々な研究が行われています。当施設ICUでも、かねてから持続的腎代替療法を積極的に導入しており、より有効な施行方法を追求することで治療成績も向上しております。しかしながら、国内でも施行方法や開始時期についての一致した見解はなく、最近の研究で早期導入が患者転帰を改善する可能性が示唆されてはいるものの、明確な基準がないのが現状です。
本研究では、心臓手術関連急性腎傷害の治療に持続的腎代替療法が施行された患者さんの検査データ、治療経過を解析して、より高い治療効果が得られる最適な導入基準を明確にすることで、心臓血管手術後の患者転帰を向上することを目的としています。

【使用させていただく試料等について】


本院におきまして既に心臓血管手術を受けられた患者さんの試料(電子カルテ上の検査データ)を医学研究へ応用させていただきたいと思います。その際、検査データと診療情報(例えば治療効果がどうであったかなど)との関連性を調べるために、患者さんの診療記録(カルテや手術・麻酔記録など)を調べさせていただくこともあります。
なお、患者さんの検査データ(血液検査、腎機能検査、心機能検査、呼吸機能検査、画像検査など)および診療記録を使用させていただきますことは、本学医学部倫理委員会において外部委員も交えて、厳正に審査され承認された後に行います。また、患者さんの検査データおよび診療情報は、国の定めた「臨床研究に関する倫理指針」に従って匿名化したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。

【患者さんの費用負担等について】


本研究を実施するにあたり、患者さんの費用負担はありません。

【研究資金】


本研究においては、公的資金である集中治療部の病院研究費を用いて研究が行われますので、患者さんの費用負担はありません。

【利益相反について】


この研究は、特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは研究成果に影響するような利害関係を指し金銭および個人の関係を含みますが、本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)」は発生しません。
【研究の参加等について】

本研究へ試料(検査データ、診療記録)を提供するかしないかは、患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に試料を使用して欲しくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの試料を研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合には、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんの検査データを使用してほしくない場合、その他本研究に関して質問などがございましたら、以下の研究責任者までお申し出下さい。

(研究責任者)
〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
大分大学医学部麻酔学講座 集中治療部 助教  日高 正剛
電話番号 097-586-5943