心臓大血管手術後せん妄の危険因子および患者転帰についての検討
心臓・大血管手術後に本院集中治療部で加療された患者さん・ご家族の皆様へ
術後ICU入室(平成25年9月1日~平成26年8月31日)された患者さんの診療記録および検査データの医学研究への使用のお願い
研究の目的について
せん妄とは急性に発症(通常数時間から数日)し、意識、注意、知覚の障害が出現し、日内変動を示す症候群です。侵襲の大きい手術後において高頻度に発症し、心臓大血管手術後は他の手術と比較して、せん妄発症が多いとされています。せん妄発症は周術期合併症の増加、入院期間の延長など、術後の患者転帰に多大な影響を及ぼすことが知られていますが、せん妄の認知度が低く過小評価され、見落とされて治療が遅れるケースも多いとされます。
そこで、ベッドサイドで簡易的に行うことができる評価スクリーニングツールとしてCAM-ICU( Confusion Assessment Method for Intensive Care Unit)を当施設ICUでは2013年8月よりを導入しています。これによりせん妄を早期に診断し、早期に治療を開始することができます。
せん妄増悪後の治療は困難であることから予防や早期治療が重要視されており、せん妄発症には多くの因子が関連し、危険因子がある患者さんでは、頻繁にスクリーニングを行うことで更なる早期発見や早期治療と予防が不可欠となります。
本研究では心臓大血管手術後に本院集中治療部で加療された患者さんを対象にせん妄の発症状況を調査し、周術期におけるせん妄の関連因子を調査します。本研究の結果から、当施設ICUにおけるせん妄管理を改善させることで、術後患者さんの転帰が向上していくことが期待されます。
使用させていただく試料等について
本院におきまして、既に心臓大血管手術を受けられた患者さんの試料(電子カルテ上の検査データ)を医学研究へ応用させいただきたいと思います。その際、せん妄発症とのとの関連因子を調べるために、患者さんの診療記録(カルテや麻酔記録など)を調べさせていただきます。
なお、患者さんの診療記録(カルテ、麻酔記録)および検査データ(血液検査、呼吸機能検査、心機能検査、脳神経学的検査、画像検査など)を使用させていただきますことは、本学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査され承認された後に行います。また、患者さんの診療情報および検査データは、国の定めた「臨床研究に関する倫理指針」に従い、匿名化したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。
患者さんの費用負担等について
本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。
研究資金
本研究においては公的資金である集中治療部の病院研究費を用いて研究が行われますので患者さんの費用負担はありません。
利益相反について
この研究は、特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは、研究成果に影響するような利害関係を指し、金銭および個人の関係を含みますが、本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)」は発生しません。
研究の参加等について
本研究へ診療情報や試料を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に試料を使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの試料は研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんの検査データを使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、以下の研究責任者までお申し出ください。
研究責任者
〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
大分大学医学部麻酔学講座 麻酔科 医員 佐々木 美圭
電話番号 097-586-5943