持続緩徐式血液透析濾過における異なる希釈法による治療効果の実証的評価
本院集中治療室で急性血液浄化療法を行った患者さん・ご家族の皆様へ
~急性血液浄化療法時 (令和元年8月から令和7年3月まで) の医学研究へのデータ使用のお願い~
【研究課題名】
持続緩徐式血液透析濾過における異なる希釈法による治療効果の実証的評価
【研究の対象】
この研究は以下の方を研究対象としています。
2019年8月~2025年3月に当院集中治療室で急性血液浄化療法を受けた維持透析患者さんのうち、continuous hemodiafiltration (持続緩徐式血液透析濾過=24時間以上持続的に血液濾過と透析を組み合わせることで、水分や老廃物の除去を行う血液浄化療法のこと、以下CHDF)で前希釈CHDFまたは後希釈CHDFを施行された方。
【研究の目的・方法について】
急性腎傷害に対する治療法として集中治療領域で一般に施行されているのが急性血液浄化療法であり、機能不全に陥った腎臓の補助効果があるとされています。急性血液浄化療法で主に行われているcontinuous hemodiafiltration(以下CHDF)は、時間をかけて安定的に腎機能を補助する治療法として広く用いられています。
CHDFでは、血液をろ過する過程で希釈液(透析液)を加える位置により、「前希釈法」と「後希釈法」があります。後希釈法は除去効率に優れる一方、回路が詰まりやすく、治療中断のリスクがあります。
一方、前希釈法は回路の詰まりを抑える利点がありますが、除去性能がやや劣る可能性が指摘されています。
本研究では、当院集中治療室でCHDFを施行した維持透析患者さんを対象に、前希釈法と後希釈法の違いが与える影響を、以下の項目で評価します:
① 血清クレアチニン・血清シスタチンCの低下率(溶質除去性能)、
② 24時間の治療継続率(回路交換の達成率)、
③ 治療中の回路内圧の経時的変化。
これにより、CHDFにおける希釈法の違いが治療効果や治療継続性、安全性にどのように関与するかを明らかにし、前希釈法のCHDFが後希釈法のCHDFと同程度の治療効果が得られるのであれば、今後体外に取り出す血液の確保の問題や血液濾過器の詰まり防止効果など、希釈方法の変更で安定した治療の継続に寄与できると考えています。
研究期間:(医学部長実施許可日)~2030年3月31日
【使用させていただく情報について】
本院におきまして、既に急性血液浄化療法の治療を受けられた維持透析患者さんの診療情報を医学研究へ応用させていただきたいと思います。その際、診療情報(例えば治療効果がどうであったかなど)との関連性を調べるために、患者さんの診療記録(年齢、性別、血液浄化量、血清クレアチニン値、血清シスタチンC値、eGFR 等 下記※1を参照)を調べさせていただきます。
なお、本研究に患者さんの診療記録(情報)を使用させていただきますことについては、本学医学部倫理委員会において外部委員も交えて厳正に審査・承認され、大分大学医学部長の許可を得て実施しています。また、患者さんの診療情報は、国の定めた「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に従い、特定の個人を識別できないよう加工したうえで管理しますので、患者さんのプライバシーは厳密に守られます。当然のことながら、個人情報保護法などの法律を遵守いたします。
※1)研究対象者情報(持続血液濾過透析導入前)
・患者さんの基本情報(年齢,性別,1時間あたりの血液浄化量(mL/kg/h),eGFR)
・血液検査データ(血清クレアチニン,血清シスタチンC)
2)研究対象者情報(持続血液濾過透析導入から24時間後)
・血液検査データ(血清クレアチニン,血清シスタチンC)
3)研究対象者情報(持続血液濾過透析中の記録情報)
・回路内圧(入口圧,還流圧,濾過圧,TMP)の各時間点(0,2,4,8,12,24時間)における値
および変化率
・回路交換の有無および交換理由(膜凝固等)
【使用させていただく情報の保存等について】
診療情報については論文発表後10年間の保存を基本としており、保存期間終了後は、診療情報については、シュレッダーにて廃棄したり、パソコンなどに保存している電子データは復元できないように完全に削除します。
【外部への情報の提供】
本研究で収集した情報を他の機関へ提供することはありません。
【患者さんの費用負担等について】
本研究を実施するに当たって、患者さんの費用負担はありません。また、本研究の成果が将来医薬品などの開発につながり、利益が生まれる可能性がありますが、万一、利益が生まれた場合、患者さんにはそれを請求することはできません。
【研究資金】
本研究は特に研究資金を必要としないが、必要になった場合は、大分大学医学部附属病院ME機器センター基盤研究経費を使用します。
【利益相反について】
この研究は、上記の公的な資金を用いて行われ、特定の企業からの資金は一切用いません。「利益相反」とは、研究成果に影響するような利害関係を指し,金銭および個人の関係を含みますが、本研究ではこの「利益相反(資金提供者の意向が研究に影響すること)」は発生しません。
【研究の参加等について】
本研究へ診療情報を提供するかしないかは患者さんご自身の自由です。従いまして、本研究に診療情報を使用してほしくない場合は、遠慮なくお知らせ下さい。その場合は、患者さんの診療情報は研究対象から除外いたします。また、ご協力いただけない場合でも、患者さんの不利益になることは一切ありません。なお、これらの研究成果は学術論文として発表することになりますが、発表後に参加拒否を表明された場合、すでに発表した論文を取り下げることはいたしません。
患者さんの診療情報を使用してほしくない場合、その他、本研究に関して質問などがありましたら、主治医または以下の照会先・連絡先までお申し出下さい。
【研究組織】
所属・職名 氏名
研究責任者 大分大学医学部附属病院
医療技術部 臨床工学・歯科部門
臨床工学技士 井上 隆光
研究分担者 大大分大学医学部附属病院
集中治療部・講師 大地 嘉史
【お問い合わせについて】
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申し出下さい。
照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
住 所:〒879-5593 大分県由布市挾間町医大ヶ丘1-1
電 話:097-586-6123
担当者:大分大学医学部附属病院 ME機器センター
井上 隆光(いのうえ たかみつ)